葬式以後、七日七日の中陰供養・初盆の施餓鬼法会の後、亡くなって満1カ年になる頃に一周忌を勤めます。次の年(三年目)には三回忌、七年目には七回忌、以後十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌、四十三回忌、四十七回忌と故人の追善供養につとめて五十回忌で年回法要は終わりとなります。
人は亡くなると、その魂は居場所をもとめて49日の間さまよい続けるといわれています。この居場所のはっきりしない期間を中陰といいます。この中陰の間、故人の魂はあるときは自宅の屋根の上から、あるいは屋敷の木のてっぺんから、また高く空中から家族の姿を追いかけ、同時に自分の居場所を探し続けています。
初七日のお勤めは、命日から七日目にします。中陰状態にある故人への最初の追善のお勤めです。親戚などもふくめて多くの人にお参りしてもらうために、葬儀の後(火葬の後)に続いて初七日のお勤めをすることがこの頃は多くなりました。しかし、ごく最近行われるようになった家族葬のように始めから親戚などがいない家族だけの葬儀では初七日を葬儀後に勤める意味がありません。この場合には言葉通り七日目に自宅またはお寺で勤めることをお勧めします。
二七日から六七日までは家族とごく深い関係にあった親族だけで勤めることが一般的です。ここで読むお経は本山宗務所が発行している「在家勤行式」です。題名通り檀信徒向けの教本ですので、私と一緒に読んでいただきたいと思います。何十年も前には、同じ部落内に親戚も多く中陰供養の度ごとにお参りが多く、お勤めのあとに配る「念仏の実」と言われているおまんじゅうなどの供物は故人や喪主の兄弟が、七日七日ごとに順番に用意して供える風習がありました。世相が移り変わり少子化・核家族化が進んだ今となってはこの風習は全く消えてしまいました。
七七日を忌明け・しじゅうくにち(四十九日)・満中陰などという言葉で表現します。中陰の期間が終わり、来世への行き先が決まるといわれている日です。この日の来世行の決定にさいして少しでも情状が有利になるように、故人生前の罪業を軽減し、さらには多くの善行を追加してあげるために、今まで七日目ごとにお勤めをしてきたのです。これを追善供養といいます。これらの善行がみとめられれば亡き人は極楽への第一歩が踏み出せます。
この四十九日をもって忌明けとします。これまでの白木の位牌は塗りの黒位牌にかえて仏壇に安置されます。またこの日にお墓に納骨されることも多いです。お参りの参加者一同がお勤めの後、食事会を催し施主(喪主)の挨拶をうけ葬儀以後一連のお勤めの区切りとします。この満中陰を含めて以後の年回法要で読むお経はこれまでの「在家勤行式」に加えて「仏説観無量寿経」です。
喪主家にとってはこの後、百ヶ日のお参りがあります。この百日目のお参りをもって葬儀の後のお勤めは終わります。この後は初盆の施餓鬼、一周忌以後の年回法要での追善供養となります。
一周忌は年回法要のなかでは最初の法要であり、最も重要な法要とされています。早めに日時を決めてお寺と打ち合わせをし、参列者への連絡、食事会場や引出物の準備などをしておく必要があります。お勤めの場所は施主家またはお寺のどちらかでするのが普通です。お寺で勤める場合は法要前日の夕方に施主家の仏壇の前でお経をあげることもあります。(お逮夜といいます)
一周忌に続く年回法要は三回忌です。一周忌が亡くなってまる一年後だったのにたいして、三回忌は三年目即ち亡くなってからまる二年後につとめます。以後の年回法要は全てこの方式で数えていきます。3、7,13回忌と回数を重ねるにしたがって施主家には新しい家族が誕生し、故人を知らないという小さい方もお参りに加わるようにもなります。一面では招待する親戚の人数はだんだん減少していくのがふつうです。
さらに進んで33,37,43回忌ともなると施主家家族の半分以上が故人を写真とか名前でしか知らないという状態にもなってくるかもしれません。故人を知らない家族がいくら増えてきても、故人がその家族を想う気持ちにはかわりがありません。亡き人は常に自分の家族の幸せをあの世で願っていてくれます。年回法要を勤めれば故人のために追善廻向の徳を積んだという充足感が得られ、自分の家族は亡き人によって護られているという実感を持てることと思います。
五十回忌が故人1人のために勤める最後の年回法要となります。故人の面影を偲ぶことができる、思い出がよみがえるという人はさすがに少なくなります。親の五十回忌を勤めることができる人は不幸な人だという言葉を聞いたことがあります。親の亡きあと50年も生きているということは、親が早死にをしたということで今までの人生、苦労が多かったでしょうね、という意味です。しかし、亡き親があの世から見守っていてくれたから、なんとか今まで生きてこれたわけで親に感謝すべき年回法要ともいえます。この五十回忌を終えると故人の霊は、その家の先祖代々の集団に取り込まれて以後は集団としてその家の守護神となります。「先祖代々之霊」として祀ることになります。盆施餓鬼の時に先祖代々の塔婆をあげられる方が多いのはそのためです。