この頃思うことども 7

社会の変化

おりしも衆議院議員選挙の真っ最中です。日本の高度経済成長の時代が終わったことは多くの人が認めるところです。東証株価指数(日経平均225)が1989年末につけた最高値はこの30年間未だにやぶられていません。株価が上昇しなくても給料が上がり、物価が安ければ生活水準は向上して世の中平和でしょうが、この間かんじんの給料がほとんど上がっていません。経済が停滞気味だった過去30年間を総括して『失われた30年間』という言葉も使われるようになってきました。物価が上がらないのが不景気の原因だとして、アベノミクスの名のもとこの10年間続けられた日銀による異次元の金融緩和も目標とした年率2%の物価上昇は未だ実現していません。                                                    スーパーなどで日常的に買い物をするお客さんにたずねたところ、100円程度の商品がたった1円か2円値上がりしても買うのをためらう、あるいは他の店をさがしてみるという消費者が多いという内容のテレビ番組を見たことがあります。私たちは行きつけのスーパーという観念よりも、新聞のチラシ等日々の情報で買い物先を決める傾向がつよいというような結論でした。これではなかなか店側は値段を上げることはできません。お客様あっての商売です。チラシを日常的に入れることも必要になってきます。異次元の金融緩和政策は現金をどんどん国民が手にすれば買い物もそれほどシビアにはならないだろう、物価の上昇にそれほど抵抗感もなくなるだろうという考えがあったと思います。物価が上がれば企業の利益は増大し従業員の給料もふえる。それがまた新たな消費につながり企業の利益に資し従業員の給料に反映する。かくて経済の好循環がいったん回転し始めれば日本経済の前途は洋々たるものとなる。というのが金融緩和のねらいであったと思います。                                                       10年間各方面に財政支出をふやし、政府の借金(国債残高)を積み上げてきた結果どうなったでしょうか。残念ながら経済の好循環がはじまったとはいいかねますね。政府の財政支出は国民全てを潤したとはいえません。政府の支出は一部のところに寄せ集められてしまっている感です。30年前の高値を更新してはいないものの、この10年間株価は上昇また上昇しています。莫大な資金が投ぜられなければこれほどの上昇はないと思います。外国人が買った効果も大きいといわれているようですが。もうひとつ膨れ上がったのは大企業のもうけの積立金(内部留保)です。政府・日銀のもくろんだトリクルダウン効果は絵に描いた餅にすぎなかったようです。げにすさまじきは人の欲望といえます。                                        新首相選出に際して候補者の1人が唱えた富の偏在を是正するための、大企業への課税強化、高額所得者への税率アップという主張もいつのまにやら消え去ってしまったみたいです。

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